1億倍の顕微鏡で見る火のない煙

煙を部屋の一角から別の端に動かすトリックについての古典的な化学について述べたいと思う。このトリックにおいて、1億倍率の顕微鏡を用いて分子レベルでの化学反応を説明し秘密を暴いていこう。終わりに、なぜこの実験を、我々の最初の動画として選んだか思いのたけを述べたい。 — これは古典的な化学トリックである:一方のコップにタバコの煙を吹き入れて裏返して伏せる。同時に同じ部屋の別の角でコップを伏せて立てる。煙がコップから出て部屋を横切りもう一方のコップに現れる実験だ。私はこの週末に何時間もこれをやったが、一度タバコを吸いこむごとに肺が捕われたような感じだった。一体喫煙者の身体ってどうなってるんだ?;)

煙が一つのコップから別のコップに移動

##さてこのトリックにはどんな秘密があるだろうか?

いきなり種明かしをしよう。煙というものは魔法のように別の場所に移動したりしない。それは、一つのコップの中で煙が沈下する間に別のコップで新しい煙が発生しているだけの話だ。 ここに二つの気体がある - 塩化水素(水に溶けると塩化水素酸を発生させる)と、アンモニア(長期間風呂に入っていない時に発する臭いの気体)だ。この二つが結合すると塩化アンモニウムと言う土壌物質ができ、その微粒子は煙として認識されるものだ。もうお察しかと思うが、これこそが二つ目のコップで起きていることなのだ。二つ目のコップの中に、水に溶けた塩化水素(塩化水素酸)があり、コップが置いてあるテーブルはアンモニアの高濃度溶液が吹きかけられている。グラスを伏せておいたときに、二つの気体の水溶液が混合し始めることで煙が発生するのだ。

塩化アンモニウムの煙

これがトリックなのだ。上記二つの液体を近づけることでできる煙の効果を利用した様々な例がある。一番単純なものから始めよう。二つの綿花を用いてそれぞれの液体を染み込ませ、二つの綿花を近づけて煙が発生する効果を楽しめるだろう。あるいは二つの喫煙パイプで、一つのパイプから別のパイプへ煙が移っているかのようなパフォーマンスを楽しめるだろう。

わが社の一番目の動画としてこの実験を選んだのはなぜだろうか?

はじめに、私はおどけて水素燃焼の話からスタートするふりをした。これが最もシンプルな化学反応と思ったからだ。酸素と、もう一つもっとも基本的な要素である水素の結合する場合のもっとも原始的な事柄は何だろうと考えた。なんとばかげた、しろうとじみた考えだったか! その時の考えはこうだ。O2分子とH2 分子が接近して衝突し、衝突スピードが限界値を超えていると(つまり気体が高温)原子結合がエネルギー効果を得てH2O分子を形成する。しかしこの分子反応ははじめに思ったほど単純なものではないことが分かった。ロシアの科学者 ニコライ・セミョーノフとイギリスの科学者 シリル・ノーマン・ヒンシュルウッドの共同研究で、この分子反応について1956年に ノーベル化学賞を受賞している。

そこで私は溶解反応により沈殿物が発生することについて考えはじめた。水による反応はよりトリックを生み出す。水中のイオンは独立した微粒子としてではなく、イオンを構成する複雑な構造として移動し、水分子はそのイオンに強く適合し、溶媒和殻と呼ばれる現象を生む。この現象だけでは溶解反応が外見ほど原始的ではないという事実を示すことはない。ちなみに今話題にしているのは、特にこのような または このようなものに代表される相境界上の複雑な反応についてではない。

はじめは何か単純なものから始めたいと考え、たくさんの化学反応を検証し、煙の例を選んだのだ。塩化水素とアンモニア反応による煙の形成は、化学反応というものを可視化し理解するのに一番分かりやすいものだと考えた。

##わが社の最初の動画

微生物学についての良い動画はたくさんある。内部からの過程を示す動画だ。ここに例を挙げてみよう。伝令RNA翻訳DNAレプリケーションDNAからプロテインへDNAがどのようにパッケージされているか

しかし、インオーガニック化学についての動画はほとんど存在しない。つまり、美しい実験を示す動画についてのことではなく、内部で分子レベルで起こっていることとを示す動画がほとんどないということだ。ところが現在は、少なくとも一本の存在することになった :) 今後はもっと出てくるだろう。

さてそこで、1億倍の拡大が可能な顕微鏡があるとしよう。つまり一つ一つの原子を観察するために必要な倍率ということだ。さて、その顕微鏡で精査してみることにしよう。


私は初めて、週末に自分の子供に実験を教え、内部で何が起こっているのか示してみた。こうすることは他のやり方よりも化学を理解される方法としてに適している。更新を購読してtwitterをフォローし、バーチャル顕微鏡による新しい化学実験を学ぼう。

おまけの問題

そして今日のおまけの問題: この動画で間違いを探そう。いくつかの間違いを仕掛けてある。あるものは技術的理由により、あるものは時間の制限が理由だった。見つけられますか? 答えが分かったらtwitterからつぶやこう!